2021/05/30

グライダーフライトの基本:旋回

  グライダー操縦の基本である旋回については以前書いたことがあるのですが、実機でのフライトを習ったことがない方、Condorにフライトシムから入ってきた方のためにもう少し詳しく書いてみました。Condor Club等でフライトトラックを他のパイロットと比較した時にどうしても平均上昇速度の差が気になる方はもう一度旋回操作の基本に戻ってサーマルの中で定常旋回をきれいに出来るように心がけて下さい。

 定常旋回の基本は①速度一定②バンク一定③滑らないの三つ。このために①エレベーター②エルロン③ラダーの三舵を調和しながら操作する必要があります。その他、風切り音を聞いて速度の変化を察知することや、実機では僅かなGを感じて姿勢の挙動を感じるのですが、Condorでは残念ながら風切り音は分かるものの、後者のGは残念ながら感じることは出来ません。

【速度(ピッチ)】

 まず①の速度ですが、単純に説明すると深い見下げ角(ピッチ)で飛ぶと速度が速くなり、浅い見下げ角で飛ぶと速度が遅くなります。最初に巡航時の速度管理を見てみると、速度計を見ながら必要な速度になった時にインパネとの位置関係を覚え、その後は速度計を見ないでその位置関係を一定にするように飛ぶと一定速度で飛べるということになります。さらに風切音の変化も速度変化を感じるツールになります。

 さて、今度は旋回中の速度管理ですが、これも同じで最終的に速度計で速度を確認後は、地平線が常にインパネの同じ所にあるように操縦します。私の場合は右図のように緑の矢印で示しているような地平線の位置を覚えてそれを一定に飛ぶようにしています。ただ、注意が必要なのはサーマルで高度をどんどん稼いでいくとだんだんその位置がずれていくこと。グライダーの高度が変わると結構地平線の見え方が変わってくるんですね。また、近くに山があって部分的に地平線が見えなくなるところがあると、見かけ上の地平線に惑わされて速度がふらふらと変化してしまうことがあります。実機だとそのあたりはGを感じて機体の動きで察知出来るのですが、そのあたりはCondorが完全なるシムにはならないところです。私の場合は山の中腹に仮想地平線を考えてピッチの変化を抑えるようにしています。

【バンク角度】

 次にバンク角になりますが、先の図の通り地平線と機体の水平との角度を見て一定に保つわけですが、今何度のバンク?というのは分かりにくいものです。グライダーによっては姿勢指示器がついているのでそれを見ると判りやすいので感覚を掴んで下さい。複座機で練習する時は後席の教官に特定の角度の旋回をしてもらったり、自分の旋回が何度くらいあるのか教えてもらえますが、特にそういう経験がないとバンク角度って分かりにくいと思います。その他CoTASAというツールをインストールすれば画面右下の部分に姿勢指示器を表示することが出来るようになります。通常旋回では30度、サーマル旋回では40〜45度と言われています。バンク角が強くなると速度管理がシビアになるのでしっかりと練習しましょう。

【滑り】

 最後に、滑りについてはキャノピー正面の毛糸の動きを見ます。エレベーターやエルロンは機体を動かしたい方向にぐっと力をいれば良いので分かりやすいですが、毛糸の動き(滑り)に関しては毛糸が左に振れたら右足を踏み出す、右なら左ととっさに動かすことが出来るように体に覚えさせて下さい。滑りは滑空性能を落としてしまうので、動力機以上にグライダーでは基本的には起こしてはいけないものです。特に旋回中、フルバラストで旋回して速度を抜いている時にはスピンに入りやすく致命傷となります。

 実は私がラダー操作をジョイスティックの捻りにしたくない理由はそこにあります。旋回中は微妙にラダーを当てていないといけなくて旋回中常に手首をひねっている必要があります。AキーでAuto Rudderを使うという方法はあるもののそういうCheatはしたくないし、手首の捻りを頻繁に使うことは結構手首に負担がかかるのでやっぱり実機と同じようにラダーペダルが必要だと考えています。旋回に入る時、旋回から出る時、滑りを起こさないように三舵を上手く使って操縦すること、それを三舵の調和といいます。航空部でグライダー操縦を習っている方はぜひラダーペダルを使ってCondorを操縦練習にも役立ててもらいたいと思っています。

 その他、サーマル旋回中の注意事項は

 a) サーマルのコアのプラスが非常に強い場合、左右の翼に働く上昇風に差ができてコア側の翼を押し上げてバンクを緩めようとする力が働く→つばさを煽られるのを感じたら直ぐにエルロンを捻り込んで姿勢を戻す

 b) 旋回中にサーマルのプラスの強いところに入ったら速度が出て、マイナスのところに入ったら速度が抜ける→大気の上下方向の動きが速度にも影響を与えるのですが、それに惑わされないようにピッチを一定に保ちしっかりと定常旋回をしてからサーマルの強い方向をみつける

 c) サーマルが小さい場合はバンク角度を少し深くして旋回半径を小さくするとコアを上手く掴めることがある

 d) クラブ機やSchoolクラスでは速度90km/hくらいでサーマル旋回するとよいが、高性能機をフルバラストの状態でサーマル旋回する時には120km/hくらいの速度が安定していてよい。でも130km/h以上出すとちょっとスピード出しすぎ。

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 さて、これまで説明したようにサーマル旋回に入った際には地平線とグライダーの位置関係を確認してこの状態で旋回するというところをまずは作ってください。センタリングはその後ですね。コアにはじき飛ばされないようにエルロンをしっかり使ってバンクを一定にすること、スピードの出しすぎで自分で勝手に外側に膨らまないようにするだけでもしっかりサーマルの中で上昇出来るようになります。

 米国の航空機の教官の話をどこかで読んだのですが、最近ではフライトシムから実機の操縦の世界に入ってくる人が増えているようで、彼らにはまずは計器を見ないで操縦することを練習させるのだそうです。フライトシムではどうしても画面に集中して計器に頼ってしまっている人が多いとのこと。実機で飛んでいる人は最初からたたき込まれていると思いますが、出来るだけ視野を広くして機体の挙動を五感を使って飛ぶことが航空機の基本です。CondorでもヘッドトラッキングやVRを使ってそういう操縦で楽しんでいただきたいと思っています。  (NT3)


2021/05/28

JP Saturday Flight: 5月29日(土)のタスク

  今回は前置き抜きで早速5月29日のタスクの説明です。

1.サーバスタート:5月29日(土)午後9時。エントリーは20分間 
2.シーナリー:Ridge North (Condor2)
3.クラス:スタンダードクラス
4.タスク:212.4km リッジ+サーマルタスク
5.スタート高度:1,400m(海抜)。ゴール高度300m(海抜)。
6.ゲートオープン:エントリー閉め切り1分後から120分間。
7.トラックデータのアップロード、成績の発表はこちら
8.XCSoar用のタスクはこちら。Google Earthのデータはこちらからどうぞ。


 スタートからTP1まで117kmあります。スタート後10km程で最初のリッジにたどり着けますが、その先はどのように飛びましょう。TP2まで遠回りをしながらずっとリッジで飛べそうにも思いますが、結構な遠回りになりそうですし、途中でかなり低いリッジになりそうなので力尽きると苦しくなってしまいます。状況判断しながら飛んで下さい。

 ゴールは前回と同じR/W。思い出せるかな?




2021/05/26

CondorのPDAの使い方(各画面解説、Final Glide)

 CondorのPDA:Flight Computerは自由度は少ないですが意外と優秀で便利です。フライトに入ったら自動的にタスク、ポーラー、バラスト量が自動的に入力されていて、風向風速もフライト中に自動検出して計算に反映されています。普段、私は8インチタブレットをWifiで繋いでXCSoarを使っているのですが、そちらを使うためには、まずはタスクをXCsoar用に変換して読み込み、ポーラーデータを正しく選択するために機体を選んでから水バラストの量を入力と結構面倒です。機体の選択やバラストの入力を忘れるとMC計算や到達高度の計算が狂ってしまうので気が付かないでいるとかなり無駄なフライトをしてしまうので注意が必要です。

 では前置きはそのくらいにして、高性能なCondorのPDAの使い方について説明しましょう。

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 まずはCondorのPDAの各画面の説明をしましょう。キーボードの1から4までを叩くことで次の画面を呼び出すことが出来ます。そのほか、Mキーで順番にトグルすることもできるのですが、それについては後ほど説明します。

(Screen 1)
 Moving Map。実はここで右図のように衛星画像が表示されてしまうと地形がよく判らなくてフライトにはあまり役立たないので、フライトに入る前にタスク確認画面で表示マップを切り換えて見やすいものにしておきましょう。シーナリーをインストールしたときに見やすいマップが添付されていない時はCondor ClubのGoodiesを調べてみると便利なLandscape Mapがアップされている時がほとんどです。お気に入りのものをダウンロードしておきましょう。

 さて、1をもう一度押すとマップ表示無しのGPS画面になります。これをレーダー画面と読んでいる方が居られましたが、ガグルを組んでいるなどの他機の確認に便利だと思います。お好みでどうぞ。

 もう一つ重要なのはPDAの拡大縮小キーのPgUpとPgDn。これを使ってマップの拡大縮小をします。

(Screen 2)
 Navigation。ほとんど使うことがないという方もいるようですが、私は巡航時やまもなくTPに到達するという時にはしばしばこの画面に切り換えてTPの方角と距離を確認しています。

BRG(Bearing):次のTPに向けて進むべき方角
HDG(Heading):グライダーが進んでいく方角(Headingとは機首が向いている方角のことだと思うのですが黒丸を真ん中に合わせると偏流を取った上でTPに向かう方角が表示されているように思います。)
DIST(Distance):次のTPまでの距離
VMG(Velocity Made Good):目的地に向う速度、つまり地上速度のこと。風が強くて偏流なんか取ってると、大気速度より遅くなるし、追風だと大気速度より早くなりますね。
TTG(Time To Go):TP到達までの時間
ETA(Estimated Time of Arrival):TP予定到着時刻

(Screen 3)
 Final Glide画面と呼ばれますが、Final Glideに向う時だけでなく、それ以前のサーマリング中や巡航の時にも自分の状況を確認するのに使います。使い方はまたあとで。

MC:マクレディー値
DIST(Distance):次のTPまでの距離。
DH(delta hight):現在のグライダーの高度とTPの高度差
DDH(delta delta height):このままMC速度で飛んでTPに到達した時のグライダーとTPとの高度差
TTG(Time to go):TP到達までの時間
ETA(Estimated Time of Arrival):TP予定到着時刻

 この画面でもPgUpとPgDnを使うと次のTPだけでなくその先のTPを選択して必要高度を表示することができます。 

(Screen 4)
 Thermaling/Wind。4を続けて押すとサーマル画面とWind画面の切り替えが出来ます。サーマル画面では赤のラインがプラス、青のラインがマイナス。サーマル旋回中にどのあたりが上がりが強いかの確認に使います。Wind画面での風向風速の確認は山岳フライトでは要所要所で行いましょう。風が地形を巻き込んでいて風向が変わっていることがあります。



(画面切り替え)
 さて、これらのPDAの画面切り換えですが、フライト中、キーボードをよく使う方は1から4までのキーを直接叩けば良いのですが、私はフライト中はほとんどキーボードを使わないのでMキー(Handheld next screen)をジョイスティックの親指ホームポジションにあるボタンに登録して画面切り換えをしています。(Screen1→Screen2→Screen3→Screen4(Thermaling)→Screen4(Wind)→Screen1に戻る)Handheld next screenボタンについてはマニュアルにはなぜか記載がないのですが、Input設定画面を見るとデフォルトでMキーに設定されています。この機能を使うとジョイスティックのボタン一個で画面切り替えが出来ます。片方向だけなので行き過ぎてしまうともう一周しないといけないですが私は便利に使ってます。ジョイスティックにボタンがいっぱいついている方はお試しあれ。


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 ではScreen3のFinal Glide画面の使い方をもう少し詳しく説明してみましょう。

(ファイナルグライド時)
 さて、まずはMC値についておさらいですが、マクレディー理論によるとタスク中は次のサーマルの平均上昇率を予想してMC値を設定し、巡航速度をMC値に対応する速度に合わせるとタスク時間を最短にすることができるとされています。

 しかし、ここがゴール前の最後のサーマルと思ったら、そこでは今回っているサーマルでの平均上昇速度、バリオがどのくらいを差しているかをMC値として入力します。全周同じ上昇率で上がっているわけではないので難しいのですが、そこは感覚で設定することになります。MCの値を設定したら、今度はDDHの値を見てあとどのくらい上昇したらファイナルグライドに入ってよいか考えます。ここでは-105mとでているので、あと105m上昇する必要があるということが分かります。実際には旋回を終えてから巡航速度に遷移する際に大きく高度低下があることや、その後に沈下にはまってしまうリスクを考えると、100〜200m余裕を持つと良いといわれています。慣れてくるとこれがどんどん小さくなります。上級者になると、距離にもよりますが、サーマルの状況や地形を考えてDDHがマイナスのままファイナルグライドに入って、ドルフィンやリッジで高度を稼ぎつつ最短の時間でゴールに向かっていくことがあります。



 次にファイナルグライドに入ったら、バリオをV(Vario)モードからS(Speed)モードに切り替えて、バリオの指示が0になるような速度で巡航します。そうすればPDAの赤丸は十字の真ん中で一定になるはずなのですが、途中に沈下帯があったり、サーマルがあったりするとこの位置が変わり、DDHもプラスになったりマイナスになったりします。あまりそれに振られてしまうとよくありませんが、時々チェックしておいて必要に応じでMC値の修正をしながら無駄に高度を余らせないようにスピードフライトをしましょう。

 なお、Condorではゴール高度が自動的にPDAに入力されていますので、DDHが0になったところがゴールの制限高度です。AGLで飛んでいる人でゴール高度(MSL)とゴール地点のMSLの確認を忘れた場合でもPDA画面のDDHがプラスになっていれば大丈夫です。

 とはいえ、ゴール直前に小山があったり、森があったりすると、ぎりぎりの高度でゴールに向かっていた場合に乗り越えることができず最悪クラッシュしてしまうことがあります。スタート前にゴール付近の地形は十分確認しておきましょう。障害物がある場合はファイナルグライドにその分マージンを加えることが必要です。

(最後のTPの前にファイナルグライドが始まる場合)
 このFinal Glide画面ですが、最初の表示では次のTPまでの情報が出てきます。でも例えば最終レグが意外と短くて最後のTPを回る前にファイナルグライドになる場合はどうするかという問題があります。その時はMoving mapの拡大縮小キーと同じPgUp、PgDnキーを使って、もう一つ向こうのTPまで、さらにその向こうと切り替えることができます。

 右の画像では+1と出ているのでゴールはTPを一つ越えた向こうにあることがわかります。数字が黒字の場合は次のTP、赤字になっている場合はそこがゴールであることがわかります。このPgUp、 PgDnキーを使っていくと、ファイナルグライドになっていなくてもゴールまでにあと何m上昇しないといけないかがわかります。例えばスタート前に今日のMC値を予想して入力した後にPgUpキーを何回かたたいて数字が赤字になった時のDDHの値を見ると、今日のタスクでは合計で何mの上昇が必要かわかるのでそれを作戦に役立てたりします。

 なお、この時に気を付けないといけないのは、DISTの数字は目的のTPまでの距離であって、直近のTPまでの距離ではないということ。この画面だけ見てるといつの間にかTPを過ぎていて無駄な距離を飛んでしまうことがあります。+1とか+2のまま飛んでいるときは注意してください。

(タスク途中のサーマリング時でのFinal Glide画面の使い方)
 私はこの画面をタスク途中でもよく使っています。これを使うと次のTPの到達予想高度がわかります。例えばDDHが800mと出ていると、そのままMC速度で飛んだらTP上空800mで到達するだろうということがわかります。

 ざっくりした考え方で、TP後に風上に向かう場合はできるだけ高い高度で通過した方がよくて、TP後に風下に向かう場合は通過後にL/Dが稼げるので少し低くてもよいとされています。また、スピードフライトのために雲底高度の半分までは直進してよくて、その途中では強いサーマルでもなければスルーしてよいが、半分近くなったら近くのサーマルに向けて方向を変える、半分を切ったらサバイバルモードに入れと書いているのを見たことがあります。

 そうした作戦を考えっつ、次のTPをどのくらいの高度で通過するのかサーマルの状況や地形を見ながらフライト中にもこまめな作戦の修正を行ってください。

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 以上、PDAの使い方、特にFinal Glide画面の使い方を後ろから順番に説明しましたが、意外とCondorのPDAは使いやすいのでフライト中に積極的に使ってタスクタイムを縮めることにチャレンジしてください。特にゴール時に無駄な高度を残さないようにすることが一番大きな短縮要因だと思います。

 一つだけこのPDAの欠点を言うと、Moving Mapで地形の把握が難しいこと。人によってはマップが常に北が上にあって、進行方向を上にすることができないことを残念に思うかもしれません。

 私は地形の把握のためにタブレットをつないでXCSoarを使って調べながら飛んでいます。iPhone/iPadの方はiGlideというアプリがあってCondorでも利用可能です。iGlideは有料ですが購入して使ったことありますので、もしご希望ありましたら解説をアップするのでコメントください。

 このポスト皆さんのお役に立ちましたら幸いです。😌 (NT3)

2021/05/25

Condorの20m MultiSeatクラスの機体

  来月6月のタスクは20m MultiSeatクラスで設定。このクラス、標準でDuo Discusがついているのですが、今年になってArcusがCondorにやってきたので2機種になりました。でも、Arcusはフラップ付きで高速性能がDuo Discusよりもかなり良いのでCondorではハンデ計算されるみたいです。

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 Duo Discus XL:ドイツ、Shempp-Hirth社製。Janusの後継機として出来た高性能複座練習機。WikipediaによるとDuo Discusの初飛行は1993年、XLは最新型でArcusやNimbus 4Dと同じ胴体を使っているとのこと。(the same fuselageとはグライダーの場合どこまでの事を指すのでしょうか?)

 Condorで飛んでみた感じは、操縦感は素直ですが、やはり大きくてどっしりした感じですね。全体にえいやっと動かして、後からもわっと機体が動く感じです。ポーラーを見てもらえば分かるようにバラスト満載でも190km/h以上になるとがくっと性能が落ちてます。フラップがないのでトリム調節がこまめに必要です。

 内装はこんな感じ。単座機に比べると横幅が広いですね。計器類は基本の三点セット(速度計、バリオ、高度計)が上段に並んで見やすくて、如何にも練習機という感じがします。



 Arcus:ドイツ、Shempp-Hirth社製。Duo Discusに追加してフラップ機として製造。Wikipediaによると初飛行は2009年。翼いっぱいにflaperon(フラップとエルロンの両方の機能を持つ)がついている。


 この翼いっぱいについているflaperonのおかげだろうか、Condorで操縦してみると機敏な操舵感で単座高性能機と同じような感覚がして、あまり複座機という感じがしない。ポーラーをDuo Discusと比べると、ArcusはL/D=49.1(117km/h)とDuo Discusの46.1(113km/h)を凌駕し、さらに190km/h以上の高速域に入るとArcusの性能が高いので、MC3.0の巡航速度はArcusでは194km/hなのに、Duo Discusでは186km/hと大きく離れてくるので、条件の良い日はArcusの方がビュンビュン飛び回ることが出来るでしょう。

 内装を見ると、インパネの形は確かにDuo Discusと似てますが、PDAが真ん中にドーンとあって見やすくなっています。それでいて他の計器が小さくなっているわけでもなくて見やすい感じです。Duo Discusとは違ったレイアウトで速度計と電子式バリオがPDAの両脇上段にあって、タスク攻めますという意気込みが感じられますね。



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 Condorではこの少し目的・性能が異なった機体が同じクラスに入っているので、CondorではDAeC indexが使われてハンデ計算されます。Duo Discusのindexは111、Arcusは114。さぁ、皆さん。どちらの機体でチャレンジしてみますか?まだ高性能機に慣れていない方はまずは
Duo Discusで飛ぶと良いと思います。

 なお、Hanger画面でTwo Pilotsにチェックマークを入れると後席にバディがのってくれます。さらに翼面荷重を最大にするには後席を載せた上でバラストを最大にして下さい。単座の時よりも最大搭載バラスト量は少し減りますが、最終的にWindg Loadingは大きくなってポーラーも右側に動きます。ま、後席は上がりが苦しくなっても放出できないバラストですな。😁(NT3)



2021/05/24

JP Saturday Flight: 6月のシーナリー「Haweqwa」

 

 6月は南アフリカ、ケープタウンの東側のエリア、「Haweqwa」というシーナリーを使ってみようと思います。Jeffrayさん作成の4/28に発表されたばかりの新しいシーナリー。Condor Clubのこちらのページからダウンロード出来ます。5月は結構大きなシーナリーを使ってしまったので、今回はダウンロードで1GBちょっと、展開後も3.13GBと小さなシーナリーです。

 3Dオブジェクトは入っていないのですごくシンプルなシーナリーですが、景色が何とも言えず面白いです。独特な山の連なり方をしていますし、平野はでこぼこしていて不時着が難しそうなところもあったりします。このでこぼこはブドウ畑地帯らしいですね。山の向こうの台地は標高が結構高かったり、逆に山を越えると標高が急に低くなったりします。

 少し気になるのはR/Wが上空から分かりにくいこと。R/W周りに3Dオブジェクトがなくて、R/Wの色が景色の緑色の中に埋没してしまっているので、どこにR/Wがあるのか遠くからは視認することが難しいです。仕方がないのでPDAを頼りに飛ぶことが多いと思います。

 それとCondor内のMapは衛星写真とシンプルな高低図だけなのでちょっと判り難いかなと言う感じです。それでも地形は割とハッキリした感じなので高低図を使えば迷うことは少ないと思います。XCSoar用のMapはCondor ClubのGoodiesにアップされているのでそちらからダウンロード下さい。タスクの解説は毎週水曜か木曜にアップ予定です。

 今週の土曜日、5月29日は最後のRigde North。Haweqwaの最初のタスクは6月5日を予定しています。6月のグライダークラスは20m MultiSeat。機体の解説は明日アップしますね。(NT3)

2021/05/20

JP Saturday Flight: 5月22日(土)のタスク

 先週のタスクでは違った戦略で攻めたパイロットがゴールを競う面白い展開となりました。意外と飛んでる本人は判らなかったのではないかと思いますが、再生動画を見るとその面白さが分かると思います。まだご覧になっていない方はこちらのリンクからぜひお愉しみ下さい。第一レグの長いリッジは一列になって駆け抜けて行きますが、その後はそれぞれの思いで散らばっていきます。

 さぁ、今週5月22日はスタート時はサーマル、TP2から先にはリッジがありますが、いつものようにAGL300mくらいのリッジです。下まで降りてリッジを進むのか、余裕を持って高い高度でリッジ効果を探しながら進むのか。フライト終わりましたらFlight TrackをCondor Clubのタスクページにアップロードお願いします。アウトランディングの方もぜひアップロードをお願いします。


1.サーバスタート:5月22日(土)午後9時。エントリーは20分間 
2.シーナリー:Ridge North (Condor2)
3.クラス:スタンダードクラス
4.タスク:212.2km リッジ+サーマルタスク
5.スタート高度:1,400m(海抜)。ゴール高度300m(海抜)。
6.ゲートオープン:今回はまた元に戻ってエントリー閉め切り1分後から120分間。
7.トラックデータのアップロード、成績の発表はこちら
8.XCSoar用のタスクはこちら。Google Earthのデータはこちらからどうぞ。


 最初にも書きましたが、スタート後、TP1、TP2まではサーマルで飛んでいきます。ややでこぼこした丘のようなところを飛んでいきますが、サーマルはどんな感じでしょうか。

 TP2をどのくらいの高度で入ってくるか。ここは勝負どころかもしれません。さらに、TP2からTP3までのリッジにはいくつか選択肢が出てきそうです。先の方のリッジはグライダーからはなかなか見えませんのでGoogle Earthの下見が必要でしょうか。

 TP3からTP4まではリッジが切れているのでどう進むか。TP4近くのリッジにたどり着けばなんとかなりそうにも思いますが、期待だけで飛び出していいものかどうか。

 少々上がりが悪くても堅実に高度を稼いで危なげなく飛んで行くのか、それとも思い切ってチャレンジングに飛んで行くのか。風が強いのであまり弱いサーマルで飛んでいるとどんどん流されていってしまいます。今回もフライト中いろいろと悩みながら、その場その場の判断が試されるタスクになりそうです。 (NT3)




2021/05/15

Condor2で使うコントローラー(その5:VR)

  さて、いよいよVRについて。実を言うと3年ほど前にOculusを購入したのですが、昔のタイプはセンサーを立てないといけなくて私の部屋がちょっと狭くて使い難いこと、単身赴任で自宅を離れてしまったことから最近のCondor2では試していません。使用感についてはいつものCondor仲間からの聞きかじりなので、かなり独断と偏見に満ちた形になりますが、VRを使ったフライトとモニターを見ながらのヘッドトラッキングの比較について書いてみます。それぞれに良いところ悪いところがあるのでお好みでどうぞというところです。


【VR本体】

 今、注目はOculus Quest 2。64GBタイプ単体でAmazonで37,180円。これが出たおかげでぐっと購入しやすくなったと思います。でも、これは本来は単体でゲームをインストールして使うタイプ。PCに接続しようとすると専用のリンクケーブルが必要。ぱっと見は普通のUSB-Cケーブルなんですが、信号をしっかり送るためにアクティブタイプのケーブルなんだとか。純正品だと1万円もするのですが、互換品についてはちょっと情報を持ちえていません。良く調べて購入下さい。眼鏡お使いの方には度付きレンズをはめ込むことが出来るようです。その他、Oculusを快適に使うための情報はこちらを参照下さい。

「今さらOculus Quest 2の世界から戻れなくなった」ゲーヲタ以外にもおすすめできる理由

 最近のアップデートではPCとの接続もWirelessで出来るようになったり(高速Wifiが必要?)、リフレッシュレートが120Hzに上がっているようです。

 レビューを観ていると視野角が80度くらいと、人間の視野角120度から比べると少し狭いということはありますが、視野角100度以上のVRを購入しようとすると本体だけで10万円以上するのでちょっと引いてしまいます。

HTC VIVE Pro Eye



 Oculusの他には老舗のHTC社のVIVEシリーズありますし、最近注目はPimax社の広視野角のVR。高いほうのVision 8Kは水平200度を、廉価版(51,600円)のArtisanは水平170度と言うことです。ただし、Pimax社製品は本体のみなのでHTC社のベースステーションやコントローラーを買いそろえる必要があるので思ったより出費がかさむのでご注意下さい。(下書きで置いていたらつい先日HTCの新製品(広角・5K・120Hz)の発表があったようです。)


Pimax Vision 8K Plus VR

Pimax Artisan














【CondorをVRで楽しむ時の良いところ、悪いところ】

(良いところ🙆)

・何といっても臨場感溢れるところでしょう。自由に見たいところを見ることが出来る。奥行き感もあり。

 自由に視点を変えられるというのはフライトには必須です。さらに、VRだと奥行き感があるので斜面や積雲との距離感も掴めるようです。そのため、あるVRユーザーによると山岳フライトでは斜面が近く感じられて怖い時があるといっていました。シムだからということで少し無茶をしてしまう危険性がありますが、そういう怖さを体験出来ることは良いことだと思います。


(悪いところ🙅)

・Oculus Quest 2(およびそれ以前の機種)だと視野角が人間の視野角よりも狭いので、狭苦しさがある。(太っ腹なかたは視野角の大きいVRを買おう😂)

2021/05/13

JP Saturday Flight: 5月15日(土)のタスク

   先週はリッジのようなサーマルのような微妙なタスクでした。そこを参加者の中で最も強い平均上昇率で高度を獲得した324さんがトップの成績を収めました。フライト再生動画はこちらです。

 さて、それでは早速今週の5月15日のタスクの説明です。

1.サーバスタート:5月15日(土)午後9時。エントリーは20分間 
2.シーナリー:Ridge North (Condor2)
3.クラス:スタンダードクラス
4.タスク:209.5km リッジ+サーマルタスク
5.スタート高度:800m(海抜)。
6.ゲートオープン:今回はまたレガッタ・スタート。エントリー閉め切り5分後に一斉スタート。ゲートオープンと同時に時間計測が始まります。
7.トラックデータのアップロード、成績の発表はこちら
8.XCSoar用のタスクはこちら。Google Earthのデータはこちらからどうぞ。




 さて、今回の発航地/ゴールはその名もRidge Soaring滑空場。標高は248m。スタート地点は直ぐ南のKeystone Ridgeで、高度上限は800m。このリッジの標高が500mくらいなので、その上300m以内でのレガッタスタートです。曳航機はR/Wから600m上げてくれるのでそのままスタートに入っても良いくらいです。

 なお、スタート前に高度をとりすぎると高度処理をする時にVneを越えてしまったり、高度を下げ切れずにUターンしてもう一度ラインを越えないといけなくなったりするので注意下さい。皆さん、安全フライトでよろしくお願いします。

 さてさて、第一レグは91kmもありますので上下左右少しでも斜面風の強いところでスピード出してライバルに差をつけましょう。

 TP2は5月1日のタスクのTP1と同じWayPointです。前回参加された方は何となく思い出せるのではないでしょうか。

 さて、問題は最終第三レグ。どう飛びましょう😅タスクラインとリッジがずれています。途中でリッジが使えるのかどうか。使うとしてもどこで入ってどこで離脱するか。リッジ上のサーマルで必要な高度をとっては風に正対して飛んでリッジにたどり着くことを繰り返すのかなぁと思いますが、やっぱり飛んでみないとよく判らないですね。先行機についていくか、でも同じ経路で飛んでしまっては追い抜くことは難しいだろうからギャブルであえて違う経路を取るか、それともあくまで自分の判断を信頼して最良と思われる経路を取るか。。。皆さんの判断が試されます😉


 皆さん、フライト後はFlight TrackをCondor Clubへアップロードお願いします。
 アップロード先はこちら。    (NT3)


2021/05/08

Condor2で使うコントローラー(その4:ヘッドトラッキング-OpenTrack+α)

 前回はヘッドトラッキング老舗のTrackIRの解説を書いたのですが、これは結構なお値段がするのでちょっと手が出にくいかもしれません。そういう方にはWebカメラやスマホを使ったヘッドトラッキングが意外と使えるのでお試し下さい。

 ということで、前回のブログでこんな方法もあると書いた③OpenTrack+Arucoマーカー、④OpenTrack+スマホ/タブレットのアプリを使った方法について説明します。


【OpenTrack+Arucoマーカー】

 これはなにかというと、頭に付けた検出用マーカーをWebカメラで検知して、PCにインストールしたOpenSourceのソフトであるOpenTrackを使ってマーカーの動きを視点の動きに変換してしまおうというもの。OpenTrackをインストールすると右の画像のようなタコ君が出てきてこれが頭の動きに合わせてくるくる動いてちゃんとソフトが動いているよと教えてくれます。

 設定方法については以前に書いたこちらのブログポストを参照下さい。実はこの方法、ソフトが汎用のものなのでフライトシム用に細かな設定をするのが難しいのですが、ネットで見つけたProfileをさらに私好みに改良したものを先のページで公開しています。ご自由にダウンロードしてお使い下さい。細かいところはお好みで調整してみて下さい。


 さて、この方法、問題は適当な大きさに印刷したArucoマーカーを頭にどうやって付けるか。あるサイトでは段ボールで輪っかを作って頭にかぶれ、違うサイトではカチューシャを買ってきて取り付けた、などなど。

 コロナだからマスクに付けてしまえ。。。なんて方もおられました。→ただ、直ぐにずれちゃったり息苦しくなってダメだったとか。

(出典)http://itemy.net/?p=38

 しかし、こんなのを頭につけて画面に向って真剣にフライトしている姿を家族にみられたら。。。ちょっと恥ずかしい?






【OpenTrack+スマホ/タブレットアプリ】

 次にご紹介するのは、頭に余計なものを付けるのではなくスマホ/タブレットを使って顔そのものを検知してその動きを変換してPCに送ってしまおうというもの。こちらの方がスマートといえばスマートです。iOS, Androidどちらにもいろいろとアプリが出ていて、お値段200円くらいから2000円くらいまでと行ったところでしょうか。

 問題は使っている間はスマホ/タブレットが他の用途には使えなくなるということ。電話かかってきたらアウトですし、アプリが忙しく働いているので充電が必要だったりスマホが結構熱くなったりします。スマホの置き方にも工夫が必要なのでフレキシブルなスマホスタンドがあるといいですね。

 古いスマホが捨てられなくて大事に持っていらっしゃる方は引っ張り出してきてヘッドトラッキング専用に使って見てはいかがでしょうか。

 アプリそのものはいろいろな種類がありますがいまいち期待通りに働いてくれないアプリもあるのでちょっと悩みどころです。以下、私が使ったことがあるのをちょっと書いてみると。。。

SmoothTrack 👍→お値段千円くらい。これは結構使えると思う。電力食わないように画面消去機能もある。今見てみたらUSB接続でLatencyを抑えることが出来るようになっている。これなら電池切れの心配もない。私の書いた解説はこちら。その1その2

FacePoseApp 👎→アプリ内課金で400円くらいでお手ごろなんですが、私の環境では上手く働いてくれませんでした。まずは無料バージョンでお試しを。

Smart Head Track for OpenTrack 👎→こちらもアプリ内課金で800円くらい、あんまり上手く動かなかったです。


 私は使ったことがないものの興味あるのがこちら。新しいiPhoneのTrueDepth機能を使ったものなので使える機種が限られていて、私の持っているiPhoneは残念ながら古いので試していません。😞

JBC Head Tracker ❓→ アプリ内課金で250円。ちなみにOpenTrack用のProfileはこちらのサイトのものを参考に使わせてもらいました。

 この他にもアプリストアでHead Trackingとかヘッドトラッキングで検索すると新しいアプリが出てくるかもしれないので探してみて下さい。

 ヘッドトラッキングについて何かご質問などありましたら、Twitter、このブログへのコメント何でもよいのでお問い合わせ下さい。Condorを楽しんでいる皆さんにはどんどん使っていただきたいので、可能な限りお手伝いしたいと思います。

 では、今回はこのあたりで。😌

 次回はVRについて書いて見たいと思います。 (NT3)



2021/05/06

JP Saturday Flight: 5月8日(土)のタスク

  先週は低いリッジをレガッタスタートで始めたのでかなりスリリングなタスクになったのではと思います。AA2の様な山岳レースとはまた違ったリッジを楽しんでもらえたでしょうか。フライト再生動画はこちら

 さて、それでは早速今週の5月8日のタスクの説明です。

1.サーバスタート:5月8日(土)午後9時。エントリーは20分間 
2.シーナリー:Ridge North (Condor2)
3.ゲートオープン:今回はレガッタではなく普通のスタート。エントリー閉め切り1分後からゲートオープン120分間。
4.クラス:スタンダードクラス
5.タスク:191.5km リッジ+サーマルタスク
6.スタート高度:1,500m(海抜)。
7.トラックデータのアップロード、成績の発表はこちら
8.XCSoar用のタスクはこちら


 今回はスタートラインからリッジまでが少し離れているので、レガッタスタートではなく各自自由に出発出来る普通のスタートとします。

 最初のリッジの取り付きはどのくらいの高度で到達するか。稜線からあまり離れた高度を維持しようとするとリッジ効果が少なくなるので巡航高度が遅くなります。でもリッジに到達するまでにあまりに突っ込みすぎてVneを越えてしまうとフラッターを起こしてしまうのでご注意を。

 なお、タスクセッターは確認のためのフライトをしていないので、リッジがどのくらいの強さで出てくるかはよく判りません。あしからず。

 第二レグ、第三レグはおそらく普通にサーマルレースとなるでしょう。それを考えると第一レグを低いリッジで飛ぶのとサーマルで飛ぶのとどっちが良いのでしょうか?第二レグは風上に向って進むので、TP1は出来るだけ高く通過したいところです。今回もサーマルへの切り換え時が最初の勝負どころとなるでしょう。前回同様にPlane Icon Rangeは10kmとしていますので先行機の飛び方を見ながら攻める事になると思います。

 最後に、いつもの下見用のGoogle Earthのデータはこちら

 皆さん、フライト後はFlight TrackをCondor Clubへアップロードお願いします。
 アップロード先はこちら。    (NT3)



Condor2で使うコントローラー(その3:ヘッドトラッキング-TrackIR)

 コントローラー解説シリーズの第三段はヘッドトラッキング/VR。

 私はフライトシムを楽しむための最も大事なことはGを感じる事がない中で、如何にバーチャルな空間上の自分の姿勢や他者との位置関係を感じ取ることが出来るかだと思っています。

 Condorでも操縦系統に加えて視点移動をスムーズに行うことが良いフライトをする鍵になります。視点を自由に動かすことは対機警戒や周りの積雲の状況を見るのに必要なのですが、サーマル旋回中にはグライダーから見ると斜め方向に視点を動かさないといけないので上下左右のカーソルキーでの移動は困難です。特に私が一番気になるのは場周パターンで着陸しようとする時にダウンウィンドレグで肩越しにR/Wの確認をどうするか。

関西大学航空部さんのTwitterより
 お金と広いお部屋が有る場合は右の画像の様にマルチ画面で業務用の訓練シムの様なものを作ることが出来ますが、お家シマーはなかなかそうはいきません。そこで私はCondorを始めた当初からヘッドトラッキングをCondorを始めた当初から使っています。そうしたところ、最近ではVRがお手ごろな値段に下がってきたのでCondor界でも人気急上昇中です。

 さて、そこでこれから視点移動のためのヘッドトラッキングとVRについて順番に説明してみましょう。


【ヘッドトラッキング】

 ヘッドトラッキングというのは頭の動きを検知して、それをつかって画面を動かしてしまおうというもの。視点を動かすのにマウスを使って上下左右に動かすことがありますが、それを頭の動きを使ってやってしまおうというものです。
 たとえば頭を右に45°回転させたらシムの中では135°回転させるといった設定をします。そうすると頭を右に振りつつ、目線がパソコン画面を見るために少し左に横目遣いにすることになるので最初は違和感がありますが直ぐに慣れると思います。私のように慣れてしまうとこのスムーズな視点変更はなくてはならないものになってしまいます。

 ヘッドトラッキングの導入の仕方にはいくつか方法があります。
 ①TrackIRを購入して、帽子に付属の反射板を付ける
 ②TrackIRを購入して、ヘッドセットにオプションの赤外線ランプをつける
 ③OpenSourceのOpenTrackをPCにインストールしてArcoマーカーを帽子などにつける。(Webカメラが必要)
 ④OpenSourceのOpenTrackをPCにインストールして、頭の動きの検知はスマホ/タブレットのアプリで顔を検知して行う。

 まずは気になるのが導入費用。VRも含めてまずはそちらを先に説明すると。。。

 ①と②はヘッドトラッキングの老舗商品であるNatural Point社のTrackIRという製品を使うものです。本社のサイトから直接購入すると少し安くなりますが、日本の代理店が昨年暮れ頃からオプションのTrackClip Proとのセットで23,800円でリニューアル発売しています。面倒なことはどうもと言う方は市販品のこちらがお手ごろです。お金に余裕の有る方はVRのOculus Quest 2との比較でどちらを取るかというところでしょうか。

 ③はソフトの方は無料。Arcoマーカーもプリンターで印刷して段ボール紙などに貼り付けるだけ。あとは普通のWebカメラがあればOK。ノートパソコンなら内蔵カメラで大丈夫です。

 ④は同じく無料のソフトとスマホ/タブレットに数百円から2千円程度のアプリを導入。WifiかUSBケーブルでPCと繋いで使うもの。Condorで遊んでいる間はそのスマホ/タブレットが使えなくなるのが難点。古いスマホを大事に持っている人はそれを使うことが出来ます。 

 では、それぞれについてもう少し詳しく書いてみましょう。


①② Natural Point社製TrackIR:本体は右の写真。赤外線発光/受光器です。これに反射板が標準で付いていて、オプションでTrackClip Proという赤外線発光器があります。





 ①の反射板はこんな形をしていて金属製。野球帽のつばのところに付けるのに丁度よい形状に作られています。ヘッドセットを使っていない場合や余計なケーブルの取り回しを避けたいかたにはこちらが使いやすいです。


 帽子に付けたところはこんな感じ。白く光っているところが反射板で本体から来る赤外線をここで反射してもう一度本体で受信します。反射光を使っているため、本体との距離があまり離れると苦しいようです。机に座って画面が目の前にある場合は全く問題ありませんが、私は大画面テレビを使って楽しんでいるのでこちらではなく②のタイプを使っています。また、自分の後ろ側に明るい窓やランプがあると誤作動してしまいます。昼間だとカーテンなどで工夫する必要があるかもしれません。


 先に書いたように少し本体との距離が有る場合や、もう少し精度を高めたい場合は②のTrackClip Proを使ます。ただし、こちらはUSBで電力を供給する必要があって、データのやり取りはないのでPCとの接続は必要ないものの電源をどこからとるか考えなくてはいけません。それから右の画像のようにヘッドセットあるいはカチューシャの様なものに取り付けないといけないのでスピーカーで楽しんでいる方は工夫が必要です。私は千円程度のパッドの小さなヘッドホンを買ってきて左右反対に使って耳を塞がないよう耳の前にパッドを当てるようにしています。

 使い方は以下のリンクから本家のサイトやYouTubeを参考下さい。

設定画面。緑の点がClipのランプ。対応
GameリストにCondorも入っているので、
Profileを登録するとGameごとの自動切り
替えも可能。           

 また、Condor用のProfileは以下のCondor Forumでjanjansenさんが公開してくれています。TrackIRのデフォルトProfileでも特に問題はありませんが、これらのProfileではTrackIRの動きを少し制限して視点がコックピットから出てしまわないようにします。少し使い慣れたらパラメーターを調整して自分好みのProfileにしていくとよいと思います。





 さて、ここまで書いたところで少し紙面も長くなったので一旦休憩。次のポストではこのTrackIRと同じ機能をOpenSourceのソフトと手持ちの機材だけで使う方法、上記の③と④の方法について書いてみます。私が最初にこのTrackIRの事を書いたのは、お値段はそれなりにするもののやはりこの製品を信頼しているから。でも、そこまでは予算がないという方は次に書くお手軽コースをお試し下さい。

 なお、ヘッドトラッキングとVRとの比較は結構難しいです。私的にはなかなかVRに踏み出せないか、もしくはこれからタスクで使い分けるようになるか、どちらかになると思います。その理由についてはまたその次のポストでご紹介します。        (NT3)

2021/05/04

Condor2のタスクの作り方

  昨年夏から自宅サーバでCondorのタスクを立ち上げて皆さんと一緒に楽しんでいるのですが、つい先日は学生さん達のマルチにチャレンジさせていただきました。いろいろな方が思い思いのタスクを作って楽しんでいただけるよう、私がこれまでどういうことを考えてタスク設定したのかまとめてみました。

 タスクの設定の仕方というのは逆に考えるとタスク攻略の考え方にも繋がります。タスクを作る人、タスクにチャレンジする人、双方にお役に立てれば幸いです。

 以下をマインドマップにまとめたものはこちら


【NOTAMの設定】
• 飛行機曳航の場合は通常600~700mの設定。曳航索は日本標準60mに修正する。
• Plane icons rangeは一般には5~10kmくらいで設定されるが、意外と1kmくらいの設定も楽しい。対機警戒も真剣にしないといけないし、周りの様子をよく見ながら、たまにすれ違った時によしよし追いついたぞと思ったり、やられたぁっと思ったりする。
• 通常のタスクではPlane recoveryとHight recoveryはチェックを外して、Mid-air collision recoveryのみ設定する。タスクではやり直し無しが基本だが、ぶつけられて墜落した際に過失のないほうは復活出来るようにするため。
• 練習タスクの場合は目的に応じてRecoveryの設定をして下さい。
• レースで衝突時のみリカバリー可とした時にはPlane recoveryとHight recoveryのPenaltiesを0にしておかないとぶつけられた人がリカバリー時にペナルティをつけられて悲しくなる。
• Realtime scoringはいろいろ考え方はあるが、私は無いほうが楽しい。いつもライバルとの速度を気にしているよりは、たまにチャットでライバルのTP○○クリアとか入ってくるほうが緊張感があってよい。

【スタート】

• 通常ゲートは180°半径3kmの扇型
• 最近、半径5kmのレースも観るようになった。
• スタート高度は地上高1,000~1,200mくらい。設定画面での入力はAGLではなくてMSLなのでスタート地点の標高に注意。
• 制限なしにすると高性能機だと最初の獲得で50kmくらい飛べてしまうのでタスク距離が無駄になってしまう。
• 一方、サーマル活動が少ない場合にスタート高度が低いと最初のサーマルを掴むまでがかなりクリティカルになってしまう場合がある。
• いきなりリッジや斜面上昇風を使わせたい場合は極端に低いスタート高度にすることもある。
• Condorタスク設定のデフォルトはTime Windowsが0になっていてレガッタスタートなので、通常のタスクではTime Windowsに適当な時間を入れることを忘れないこと。通常は30~60分。
• 120分で設定することも一案。そうしておくと画面左上にゲートオープン後120分のタイマーが表示されるので、自分が今どのくらいの時間タスクを飛んでいるのか把握しやすい。
• スタート位置は出発するR/Wからあまり遠くしないこと。曳航離脱後にサーマル掴み切れなかった場合にR/Wまで戻ってこれるようにしないと再出発が出来なくなる。
• 曳航高度は通常600~700m。あまり高くすると曳航機がなかなか戻ってこないので曳航待ちのグライダーが待ちぼうけを食らうことがあるので注意。その場合は曳航機の数を多めに設定しよう。
• Condorの飛行機曳航は難しい。デフォルトで曳航索の長さが50mになっているので日本の標準の60mに修正しよう

【ゴール】

• ゴールラインは180°、半径500mの扇型とすることが多い。
• 最近、ゴールから少し離して半径3kmのシリンダーとするタスクを見るようになった。
• 高性能機の場合はR/W上の高度制限なしにしておくと、みんな高速でバラストを放出しながらR/Wすれすれに高速で突っ込んでくる。自分がゴール後に後続のグライダーがダイナミックにゴールしてくるのを見るのは楽しい。
• Clubクラス以下の場合はゴール高度を地上高で150~200mくらいにしておかないと、ゴール後の引き起こしで充分な高度がとれないので通常の場周をしての着陸が難しくなる。
• ゴール高度に制限をかける場合はスタート地点とゴール地点は離したほうが良い。CondorのPDAでスタート/ゴール高度を確認する場合、両者が重なっていると数字が読めないのでフライト前にタスク確認を忘れたパイロットは困ったことになる。

【日時設定】

• 日時を設定するとSceneryの緯度経度に合わせて太陽の動きが再現される。夏場は太陽が高い位置を通るので日射が強くなりサーマルが強くなるが、冬場は太陽が低く日差しが弱くなるのでサーマルも弱くなる。
• 日時と気温の設定は連動していないので適当なものを入力しないと不自然な季節を作ってしまう可能性あり。

【 風】

• 山地のタスクでは風向きの設定は重要。タスクラインによっては達成が非常に難しくなる。たとえば山の風下裏側にTPがあるとクリアーが難しかったりする。
• リッジタスクでは風速を20~30km/hにすることが多いが、スタート/ゴールのR/Wが横風になってしまい離発着が難しくなってしまうことがある。そうした場合はAirborneでのスタートとすることもあり。
• サーマルタスクでは風を少し強めにすると高度獲得中のドリフトを考慮したり、ちょっとした丘のリッジも使えたりと、いろいろと考えることも多くなり少し面白くなる。
• No PDAタスクで風がそれなりにあると偏流を考えた航法をしないといけないので、地形/地図の読みが大切になってくる。

【サーマル設定】

• 気象設定のサーマルの強さだけではなくて、太陽の日射角度と高層雲の多少によってもサーマルの強さが変わってくる。
• 初心者が多い場合はサーマル強さのVariationが少ないほうがよいと思うが、Medium以上にするとサーマルの当たり外れがあって毎回判断を試される面白いタスクになっていく。
• サーマルの強さはStrengthの設定だけではなくて、その他にもいろいろな 要因があるが、タスクを通して常に3m/s以上出てしまうタスクは正直あまり面白くない。2~3m/sでたまにあたりに入るとそれ以上というのがドラマがあって面白い。
• 一方、1~2m/sというタスクも丁寧な旋回や慎重なタスクラインの選択が必要になって面白い。風向を考えてどこでどれだけ高度を稼ぐかを考えなくてはいけなかったり、出来るだけ沈下の少ないラインを探そうとしたり、ちょっと風が強くなると中上級者向けのタスクになる。
• サーマル高さは気温と露点の関係できまる。さらにInversion Heightで積雲の大きさや勢いが変わってくる。
• 雲底を高く設定すればするほどファイナルグライドが長くなるが、そのせいでタスク攻略に必要なサーマル数が極端に少なくなってしまってはタスクとして面白くない。
• 高い山を越えていくタスクの時は雲底が低いと稜線に雲がかかってしまって越えられない可能性が出てくるので注意。
• 山地のサーマル高さは山に入っていくに従い雲底も一緒に上がっていく時もあれば、海抜高度で雲底高度が変わらないシーナリーもあって注意が必要

【気象全般】

• あまり不自然な気象を作らないように、そのあたりの気象データを有る程度調べたほうが良いかもしれない。

【個人的に好きなタスク設定】

• 平地サーマルコース、でも途中に1,000mくらいの山、山脈があるようなタスク

• 雲底は1,500mちょっとくらいで、機体のクラスによって距離は変化するもののタスク時間は2時間前後。そのくらいの時間だとクリティカルな判断ポイントが何回か出てきて楽しめる。

• 風速15km/hくらいで、スタート前にその日の作戦/ルートを考える時にいろいろな選択が出てきそうな風向。

• サーマル強さはVariationをMediumにしてちょっと当たり外れが出るように設定。また、積雲の数があまりに多くても面白くないので適度な距離感が出るようにActivity等を調整

• No PDAのタスクもお勧め。PDAに頼れないので音を頼りに丁寧な旋回でサーマルのコアを探す練習になる。ただ、VRの人にはちょっと準備が難しいかもしれない。

                          (NT3)



2021/05/01

CondorのStandardクラスの機体

  今月のタスクについてTwitterで有料のDiscusかLS8で参加下さいと書いたのですが、まだ機体の紹介をしていませんでした。Condorは未購入の機体のTechnicalデータは見せてくれるのですが、肝心のポーラーカーブは購入しないと見せてくれません。説明の後にスクショを載せておきますので参考下さい。

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 Discus2a:ドイツ、Schempp-Hirth社製。Hangar画面では一番上に出てくるのですが実はCondorでは一番あとに出てきた機体。操縦桿は素直な感じで私は好きです。コックピット真ん中にドーンとPDAがあってみやすいのですが、おかげで他の計器類が小さくなっています。速度計が小さいのがちょっと残念なところ。ギアハンドルは右側。


 Genesis2:リトアニア、Sportinė Aviacija (LAK)社製。Condorを買った時に付いている機体。実機を見たことがないのだが得意な経常をしている。DAeC Indexを見ても分かるように他の二機種と比べると性能が悪い。一度飛んでみたがどうも操縦しにくかったのでちょっと残念な機体。ギアハンドルは右側。


 LS8 neo:ドイツ、Rolladen-Schneider社製。今はDG社が作っている。実機では良い機体と評判なんですが、ちょっと風切り音がうるさいというコメントも聞かれます。PDAはパネルの横に外付けになっていて少し小さい感じですが、おかげで速度計とバリオの口径が大きくてとても見やすく、操縦しやすいと思います。ギアハンドルは右側。個人的には電力モグラのLS8-e neoがCondorで出てこないかなと期待しています。レースで動力は全く必要ないけど、近い将来グライダー界で曳航機パイロットが足りなくなるという心配もされています。

 選択肢としてはDiscus2aかLS8 neoのどちらか。性能はほとんど変わらないので実機の製造会社の好みって感じでしょうか。

 以下、それぞれの内装とポーラーカーブを順番に載せます。  (NT3)

Discus2a内装

Discus2a ポーラーカーブ

Genesis2 内装

Genesis2 ポーラーカーブ

LS8 neo 内装

LS8 neo ポーラーカーブ



Japan-East:関東/甲信越のシーナリー公開

  関東/甲信越地方のCondorシーナリー「Japan-East」を公開します。  本当はCondor Clubで公開したかったのですがTextureのばらつきが多いので却下されてしまいました。エリア的にはSeguiさん作成のCentral Japan2と完全にかぶっていますが...