2020/10/04

ヘッドトラッキングをほぼほぼ無料で設定して使ってみた。(OpenTrack+Arucoマーカー)

  先だってSmoothTrackを使ってヘッドトラッキングを使う方法をブログに載せたが、昨日はArucoマーカーを使って、ほぼほぼ無料でCondorでヘッドトラッキングを使う方法を試してみた。やはりちょっとしたもっさり感はあり、見た目がかっこ悪いという難点はあるが、格好の悪さは自分には見えないし、グライダー・シムへの没入感、何よりタスクの成績が上がるのであれば使わない手はないであろう。個人的にはやはりハードウェアとして販売されているTrackIRが便利であり、私はしばらくはTrackIRを使っていくと思うが、日本中のCondor愛好家がヘッドトラッキングを試して腕を上げてもらうばかりでなく、安全なフライトが出来るようになることを願うばかりである。(ちゃんと他機警戒をやってくれたらもっと接近したガグルを組むことが出来ると思う。よく見えないまま突っ込んでこられるのは勘弁して欲しい。)

 では、少し長くなるが以下の記事で、無料で公開されているOpenTrackと段ボールで作ったArucoマーカーを使ったヘッドトラッキングをCondorで使う方法を紹介する。

 おっと、公開してから気がついたが、ほぼほぼ無料の場合というのはノートパソコンの場合。デスクトップだとWebカメラの購入が必要。

「Arucoマーカーを使ったOpenTrackの設定方法」

1. Arucoマーカーの作成

(1)まず、Arucoマーカーを印刷して周りの白地の部分を残して切り取り、段ボールなどを台紙につかってのり付け。ArucoマーカーのデータはOpenTrackのこちらのページにあるAR marker imageのリンクからダウンロード。ダイレクトダウンロードリンクはこちら

(2)段ボール紙などを細長く切ってヘッドバンドを作り、ステープラーなどで(1)で作ったマーカを貼り付ける。私は14cm角くらいのマーカーを作ったが、小さすぎても大きすぎても良くないようなので、上手く認識されない場合は大きさを変えて印刷して作って欲しい。おそらくカメラとの距離や解像度/ズーム倍率などが関係してくるのだと思う。


2. OpenTrackのインストール

(1)こちらのページからソフトをPCにダウンロードしてインストール。インストール形式のものとポータブル形式のものとある。ポータブル形式のものは任意の場所に解凍して使用可能となる。

(2)まずは一旦OpenTrackを起動すると、DocumentフォルダにOpenTrackのフォルダが出来ているので、そこにこのリンクから「Condor2 - Aruco.ini」ファイルをダウンロードして保存する。(SmoothTrack用のiniファイルもここに置いてある。)

(3)次にOpenTrackのアプリに戻り、Profileにコピーした「Condor2 - Aruco.ini」を選択する。

(4)今度はカメラの設定。①がArucoの設定になっていることを確認して②をクリック。Tracker settingsの③を使っているカメラの仕様に合わせて修正。FPSは速いほうが動きは滑らかになると思う。ここまで来たらTrackingの「Start」ボタンをクリックしてカメラを起動しよう。このとき④をクリックするとカメラの設定アプリが立ち上がるので左の画像を見ながら頭に付けたマーカーがちゃんと認識されるようにズームやカメラ角度などを調整する。画面に見えるマーカーの真ん中に赤いドットと枠にそって赤い線が出ていればOpenTrackがArucoマーカーを認識していることが分かる。この状態で頭を動かすと、右側のタコ君が動くのが分かる。

(5)次はショートカットキーの設定。①Optionsをクリックして②Shortcutsタブで最低限Centerボタンを設定しておくこと。③のところでキーボードとジョイスティックのボタンの二つを割り当てることが出来る。Condorを遊んでいるときにコンフリクトしないようにキーボードのキーを設定するか、ジョイスティックのボタンを直接ここで割り当てる。その他のショートカットキーはお好みでどうぞ。

(6)最後に6DOF(6 Degree of Freedom、6軸のこと)の調整。使っているカメラによってはOpenTrackが入力データを勘違いすることがあるので①のOutputタブから確認・調整を行う。OpenTrackでTrackingをStartしたら、一旦Condorを立ち上げ、どこでもよいのでAirborneでフライトをスタートして最初の空中で止まっている状態にする。そうしたらAlt+Tabキーを使ってOpenTrackをフロントに持ってくる。この状態で自分の頭の動きと画面の動きが正しく連動していることを確認し、もしおかしい場合は②のカメラからの信号出力とOpenTrackの入力を合わせる。反転している場合はInvertにチェックを入れる。何だか訳が判らない場合は一旦全てのSourceをDisableにしておいてから一つずつ確かめながら割り当てると良い。Arucoマーカーの時とスマホのSmoothTrackの時はこの出力と入力の関係がかなり異なっている。また、中段のところにはオフセット値の入力をすることが出来て、私の場合どうも目線が高いように思ったので③に正の値を入力して調整した。このあたりは身長の高い人低い人、それぞれ個人差があるので自分に合ったものにすればよいと思う。


(おまけ)添付したプロファイルについて

 このOpenTrackを見つけたところまでは良かったが、それをCondorで使えるようにするまでが大変だった。要はOpenTrackは汎用ソフトとして作られていて非常に汎用度は高いが自分で設定をしなくてはいけない。Mappingのところで細かな設定が出来るのだがこれが厄介。そこは商品として販売されているTrackIRが断然前を突き進んでいてほぼほぼ買ったら特別な設定をすることなく使うことが出来る。

 それでいろいろ調べていたところ、以前に紹介したHead Trackerを作っている会社のページにOpenTrackの設定ファイルがあるのを見つけてこれを修正してCondor用に作成することが出来た。

 このProfileの設計思想として、狭い航空機のコックピットに座っているパイロットの視線移動には制限があるというもの。開設ページを読んでみると面白いのだが、まさにグライダーとおんなじ状況を考えている。これは使わなければということだ。

 それで、さらにちょっと手を加えて、左右の横移動や上下の移動、前後の移動に制限を加えて、視線がキャノピーの外に出てしまわない、座席より後ろに行かないといったところ調整したらちょうどよくなった。後は自分の座高に合わせて上下の位置を調整するとか、かっこいいスクショを撮るときだけ横移動の制限を取っ払ってコックピット外側から飛行中のパイロットを撮影するといったところだ。

 同じように、TrackIRでもCondor用に制限を加えたProfileが出ているのでTrackIRを使っている人はこちらのファイルを使って見て欲しい。

 さて、こうした6DOF(6軸)のヘッドトラッキングで何が良いかというと、何といっても、ガグルの中にいるときに他機警戒が簡単に出来るし、旋回中に他の雲を探してきょろきょろすることも出来る。タスクの成績が上がるのは間違いない。

 また、グライダーでは進行方向下側はなかなか見えないのだが、ハットスイッチでは出来なかったちょっと左右に体を動かして横から前方や下方をのぞき見ることができるようになる。場周でダウンウィンドに入ったときに肩越しに後ろを見るということも簡単に出来るようになるので着陸を真剣にやろうという気になる。一度使いはじめるとこれがないとフライトシムはもう出来ない。

 なお、最初は頭の動きと目の動きが反対方向に動くのですごく違和感がある。というのも顔を右に向けたとき、モニターの画像がす~ぅっと右に回っていくのだが、モニターそのものは止まったままなので目線は顔と反対側、少し左を向かなくてはいけないのだ。でも、実際に飛んだことのある人なら直ぐになれてしまうと思う。

 さあ、来週のタスクはみんな頭にチープなヘッドバンドを付けて遊んでいるのだろうか。家族の白い目にさらされそうな方はお金を出して、スマホの顔認識ソフトにするか、この際思い切ってTrackIRを注文して欲しい。TrackIRもちょっと変だがまだ格好良さがある。

 ちなみに昨日のタスクのスタート地点のオレゴン州Corvallis、あんな田舎町ににTrackIRの本社がある。

1 件のコメント:

  1. お陰様でOpenTrackを楽ちん設定させて頂きました。ありがとうございますm(_ _)m

    以前にも投稿しましたが、condor新参者にぴったりの記事をたくさん書いて頂いて大助かりしています。

    今後ともよろしくお願い致します。

    昔ハングで飛んでいたYONことtokunagaでした。

    ちなみにXAとNTは現役ハングフライヤー、XAはリアルの滞空時間3000時間のフライヤーです。

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