2021/05/26

CondorのPDAの使い方(各画面解説、Final Glide)

 CondorのPDA:Flight Computerは自由度は少ないですが意外と優秀で便利です。フライトに入ったら自動的にタスク、ポーラー、バラスト量が自動的に入力されていて、風向風速もフライト中に自動検出して計算に反映されています。普段、私は8インチタブレットをWifiで繋いでXCSoarを使っているのですが、そちらを使うためには、まずはタスクをXCsoar用に変換して読み込み、ポーラーデータを正しく選択するために機体を選んでから水バラストの量を入力と結構面倒です。機体の選択やバラストの入力を忘れるとMC計算や到達高度の計算が狂ってしまうので気が付かないでいるとかなり無駄なフライトをしてしまうので注意が必要です。

 では前置きはそのくらいにして、高性能なCondorのPDAの使い方について説明しましょう。

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 まずはCondorのPDAの各画面の説明をしましょう。キーボードの1から4までを叩くことで次の画面を呼び出すことが出来ます。そのほか、Mキーで順番にトグルすることもできるのですが、それについては後ほど説明します。

(Screen 1)
 Moving Map。実はここで右図のように衛星画像が表示されてしまうと地形がよく判らなくてフライトにはあまり役立たないので、フライトに入る前にタスク確認画面で表示マップを切り換えて見やすいものにしておきましょう。シーナリーをインストールしたときに見やすいマップが添付されていない時はCondor ClubのGoodiesを調べてみると便利なLandscape Mapがアップされている時がほとんどです。お気に入りのものをダウンロードしておきましょう。

 さて、1をもう一度押すとマップ表示無しのGPS画面になります。これをレーダー画面と読んでいる方が居られましたが、ガグルを組んでいるなどの他機の確認に便利だと思います。お好みでどうぞ。

 もう一つ重要なのはPDAの拡大縮小キーのPgUpとPgDn。これを使ってマップの拡大縮小をします。

(Screen 2)
 Navigation。ほとんど使うことがないという方もいるようですが、私は巡航時やまもなくTPに到達するという時にはしばしばこの画面に切り換えてTPの方角と距離を確認しています。

BRG(Bearing):次のTPに向けて進むべき方角
HDG(Heading):グライダーが進んでいく方角(Headingとは機首が向いている方角のことだと思うのですが黒丸を真ん中に合わせると偏流を取った上でTPに向かう方角が表示されているように思います。)
DIST(Distance):次のTPまでの距離
VMG(Velocity Made Good):目的地に向う速度、つまり地上速度のこと。風が強くて偏流なんか取ってると、大気速度より遅くなるし、追風だと大気速度より早くなりますね。
TTG(Time To Go):TP到達までの時間
ETA(Estimated Time of Arrival):TP予定到着時刻

(Screen 3)
 Final Glide画面と呼ばれますが、Final Glideに向う時だけでなく、それ以前のサーマリング中や巡航の時にも自分の状況を確認するのに使います。使い方はまたあとで。

MC:マクレディー値
DIST(Distance):次のTPまでの距離。
DH(delta hight):現在のグライダーの高度とTPの高度差
DDH(delta delta height):このままMC速度で飛んでTPに到達した時のグライダーとTPとの高度差
TTG(Time to go):TP到達までの時間
ETA(Estimated Time of Arrival):TP予定到着時刻

 この画面でもPgUpとPgDnを使うと次のTPだけでなくその先のTPを選択して必要高度を表示することができます。 

(Screen 4)
 Thermaling/Wind。4を続けて押すとサーマル画面とWind画面の切り替えが出来ます。サーマル画面では赤のラインがプラス、青のラインがマイナス。サーマル旋回中にどのあたりが上がりが強いかの確認に使います。Wind画面での風向風速の確認は山岳フライトでは要所要所で行いましょう。風が地形を巻き込んでいて風向が変わっていることがあります。



(画面切り替え)
 さて、これらのPDAの画面切り換えですが、フライト中、キーボードをよく使う方は1から4までのキーを直接叩けば良いのですが、私はフライト中はほとんどキーボードを使わないのでMキー(Handheld next screen)をジョイスティックの親指ホームポジションにあるボタンに登録して画面切り換えをしています。(Screen1→Screen2→Screen3→Screen4(Thermaling)→Screen4(Wind)→Screen1に戻る)Handheld next screenボタンについてはマニュアルにはなぜか記載がないのですが、Input設定画面を見るとデフォルトでMキーに設定されています。この機能を使うとジョイスティックのボタン一個で画面切り替えが出来ます。片方向だけなので行き過ぎてしまうともう一周しないといけないですが私は便利に使ってます。ジョイスティックにボタンがいっぱいついている方はお試しあれ。


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 ではScreen3のFinal Glide画面の使い方をもう少し詳しく説明してみましょう。

(ファイナルグライド時)
 さて、まずはMC値についておさらいですが、マクレディー理論によるとタスク中は次のサーマルの平均上昇率を予想してMC値を設定し、巡航速度をMC値に対応する速度に合わせるとタスク時間を最短にすることができるとされています。

 しかし、ここがゴール前の最後のサーマルと思ったら、そこでは今回っているサーマルでの平均上昇速度、バリオがどのくらいを差しているかをMC値として入力します。全周同じ上昇率で上がっているわけではないので難しいのですが、そこは感覚で設定することになります。MCの値を設定したら、今度はDDHの値を見てあとどのくらい上昇したらファイナルグライドに入ってよいか考えます。ここでは-105mとでているので、あと105m上昇する必要があるということが分かります。実際には旋回を終えてから巡航速度に遷移する際に大きく高度低下があることや、その後に沈下にはまってしまうリスクを考えると、100〜200m余裕を持つと良いといわれています。慣れてくるとこれがどんどん小さくなります。上級者になると、距離にもよりますが、サーマルの状況や地形を考えてDDHがマイナスのままファイナルグライドに入って、ドルフィンやリッジで高度を稼ぎつつ最短の時間でゴールに向かっていくことがあります。



 次にファイナルグライドに入ったら、バリオをV(Vario)モードからS(Speed)モードに切り替えて、バリオの指示が0になるような速度で巡航します。そうすればPDAの赤丸は十字の真ん中で一定になるはずなのですが、途中に沈下帯があったり、サーマルがあったりするとこの位置が変わり、DDHもプラスになったりマイナスになったりします。あまりそれに振られてしまうとよくありませんが、時々チェックしておいて必要に応じでMC値の修正をしながら無駄に高度を余らせないようにスピードフライトをしましょう。

 なお、Condorではゴール高度が自動的にPDAに入力されていますので、DDHが0になったところがゴールの制限高度です。AGLで飛んでいる人でゴール高度(MSL)とゴール地点のMSLの確認を忘れた場合でもPDA画面のDDHがプラスになっていれば大丈夫です。

 とはいえ、ゴール直前に小山があったり、森があったりすると、ぎりぎりの高度でゴールに向かっていた場合に乗り越えることができず最悪クラッシュしてしまうことがあります。スタート前にゴール付近の地形は十分確認しておきましょう。障害物がある場合はファイナルグライドにその分マージンを加えることが必要です。

(最後のTPの前にファイナルグライドが始まる場合)
 このFinal Glide画面ですが、最初の表示では次のTPまでの情報が出てきます。でも例えば最終レグが意外と短くて最後のTPを回る前にファイナルグライドになる場合はどうするかという問題があります。その時はMoving mapの拡大縮小キーと同じPgUp、PgDnキーを使って、もう一つ向こうのTPまで、さらにその向こうと切り替えることができます。

 右の画像では+1と出ているのでゴールはTPを一つ越えた向こうにあることがわかります。数字が黒字の場合は次のTP、赤字になっている場合はそこがゴールであることがわかります。このPgUp、 PgDnキーを使っていくと、ファイナルグライドになっていなくてもゴールまでにあと何m上昇しないといけないかがわかります。例えばスタート前に今日のMC値を予想して入力した後にPgUpキーを何回かたたいて数字が赤字になった時のDDHの値を見ると、今日のタスクでは合計で何mの上昇が必要かわかるのでそれを作戦に役立てたりします。

 なお、この時に気を付けないといけないのは、DISTの数字は目的のTPまでの距離であって、直近のTPまでの距離ではないということ。この画面だけ見てるといつの間にかTPを過ぎていて無駄な距離を飛んでしまうことがあります。+1とか+2のまま飛んでいるときは注意してください。

(タスク途中のサーマリング時でのFinal Glide画面の使い方)
 私はこの画面をタスク途中でもよく使っています。これを使うと次のTPの到達予想高度がわかります。例えばDDHが800mと出ていると、そのままMC速度で飛んだらTP上空800mで到達するだろうということがわかります。

 ざっくりした考え方で、TP後に風上に向かう場合はできるだけ高い高度で通過した方がよくて、TP後に風下に向かう場合は通過後にL/Dが稼げるので少し低くてもよいとされています。また、スピードフライトのために雲底高度の半分までは直進してよくて、その途中では強いサーマルでもなければスルーしてよいが、半分近くなったら近くのサーマルに向けて方向を変える、半分を切ったらサバイバルモードに入れと書いているのを見たことがあります。

 そうした作戦を考えっつ、次のTPをどのくらいの高度で通過するのかサーマルの状況や地形を見ながらフライト中にもこまめな作戦の修正を行ってください。

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 以上、PDAの使い方、特にFinal Glide画面の使い方を後ろから順番に説明しましたが、意外とCondorのPDAは使いやすいのでフライト中に積極的に使ってタスクタイムを縮めることにチャレンジしてください。特にゴール時に無駄な高度を残さないようにすることが一番大きな短縮要因だと思います。

 一つだけこのPDAの欠点を言うと、Moving Mapで地形の把握が難しいこと。人によってはマップが常に北が上にあって、進行方向を上にすることができないことを残念に思うかもしれません。

 私は地形の把握のためにタブレットをつないでXCSoarを使って調べながら飛んでいます。iPhone/iPadの方はiGlideというアプリがあってCondorでも利用可能です。iGlideは有料ですが購入して使ったことありますので、もしご希望ありましたら解説をアップするのでコメントください。

 このポスト皆さんのお役に立ちましたら幸いです。😌 (NT3)

2 件のコメント:

  1. PDA Screen 3 Final Glide画面の使い方が分かりました。ありがとうございました。

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  2. Naoki_NT318/4/23 21:38

    お役に立てて何よりです。何か分からないことがあればForumの方に書き込んでいただいても、他の方からも情報をもらえると思いますのでご活用ください。

    返信削除

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