2021/03/21

グライダーの旋回:Condor、水バラスト、フラップ

 昨日は初めてタスクをSpectatorモードで観戦。これがなかなか面白くてSpectatorモードについては別途書き起こしたいと思うが、サーマリング中の旋回について思うことがあったので書き起こしてみたい。グライダーの操縦をリアルで教官から習っている人は当然のことかもしれないが、ハング等から入ってきた人、初めてCondorでグライダーに取り組む人への参考になると嬉しい。

 なお、私は滑空機上級の自家用免許を40年も前に取ったきりで、教育証明は取っていないし、当時Schoolクラス・Clubクラスの機体しか乗ったことがないので、最近の教官の教え方や高性能機に関する飛び方など、もし実際と異なる説明をしてしまっている場合はどしどしご指摘いただきたい。


1.旋回の基本


 右の図にあるように地平線の角度とキャノピーと交わる地点を固定する(私はだいたい毛糸とインパネのどこを通るかを見ている)ことで、バンク角と速度を一定に旋回する。風切り音も速度変化を感じる指標の一つである。教官からいつも言われることは計器を見て操縦するなということ。計器には遅れて出てくるので、それを見て対応しようとするとどうしても遅れてしまうのでかえって修正が難しくなる。リアルだと体が感じる加速度も加えて機体の挙動を感じるのであるが、Condorでは残念ながらそれができないのでちょっと難しい。アメリカではFlight Simが操縦免許の教育課程に認められているそうだが、Simから入ってきた人には計器を見ないで操縦することを最初にやらせるのだとか。Simから航空機の操縦に入ってくる人は計器を見て操縦する人が多いらしい。Condorでもパソコンの画面だけだと全体を見渡すことができないのでどうしても計器に頼る人が多いかもしれないが、ヘッドトラッキングやVRを使って周りを見渡せる環境で楽しんでほしい。

 実は、昨日のタスクをSpectatorで見ていて、やはり成績の良い人、上がりの良い人は綺麗に旋回ができているが、そうでない人は旋回がいびつになってしまっていた。センタリングに苦労しているというよりは、旋回中の速度管理ができていないくて大きく外れてしまっているようだった。サーマリング中もバンク角、速度一定で丁寧に旋回すること。そのためには、基本である地平線の角度、キャノピーのどこを横切っていくのか、まずはそれを一定に保つ努力をしてほしい。


2.水バラストと旋回速度、Center of Gravity (CG)の設定

 今月は18mクラスのタスクを回しているのだが、Club機と違っていろいろと考えなくてはいけないことが多い。

①水バラスト          
②Fixed ballast(体重軽い人が持って
乗り込むバラストと考えると良い?)
③Center of Gravity        

(1)水バラスト:翼面荷重を高めてL/Dを良くするのだが、CondorではHanger Setting画面にFixed ballastにチェックマークを入れることもできるようになっている機体があるのでこれも忘れずにチェックして翼面荷重を最大にしよう。ただし、バラストを積むと低速性能が悪くなったり操縦性能が悪くなるので、サーマルが弱い時や気流が荒れている時には少し減らして出発したり、上空で幾らか放出して様子を見ることができる。(Club機はタスク参加機体がAllの時だけ水バラストを積んだり、Fixed ballastのチェックを入れることができる。)

 水バラストを積むと高速でのL/Dが劇的に上昇するのだが、引き換えに低速性能が悪くなって失速速度も上がってしまう。そのため、サーマル旋回時の速度も高くしないと簡単にスピンしてしまうので注意。私はClub機では80〜90km/hくらいで飛んでいるが、15・18mクラスでフルバラストの場合は120〜130km/hくらいで40〜45°バンクの旋回を心がけている。速度が抜けすぎると少しエレベーターを引いただけでバフバフ言い始めてスピンし始めるので怖い。

 速度管理には先に書いたように地平線と風切り音で管理しつつ、時々速度計でチェックする。この時、トリム調整が必要なので、ジョイスティックのスライダーに設定してこまめに調整しよう。私はこのトリム調整をしたいために多機能ジョイスティックだけでは足りなくて別売りスロットルを組み合わせてCondorの操縦をしている。なお、トリムは中立に合わせるよりも少しノーズダウン気味にして、エレベータを引き気味に操縦するとよいと思う。そうすると、速度が抜けた時には力をふっと抜くだけで良いので私には操縦しやすい。

(2)Center of Gravity (CG)の設定:前述のHanger Setting画面でCenter of Gravityの調整もできる。これをプラス(ノーズ側)にずらすとグライダーの安定性が高まり、マイナス(テール側)にずらすと操縦性能が上がる(つまり少し不安定になるということ)。さらに、L/Dや低速での上昇率が少し上がるらしいが、残念ながらCondor Ver1の時の時の説明ではL/Dの性能の上昇まではシミュレートできていないということであった。Ver1の頃は多くの欧米の人たちは−3で飛んでいたが、最近は−2の人が多いと思う。マイナスにずらし過ぎると不安定になるといわれていて、ほどほどの設定が良さそうだが、0、−2、−3でどの位操縦性能に違いが出てくるのかは自分ではよくわからない。私的にはおまじないのようなものである。どなたかフライトにどう変化が出てくるのかご存知の方は教えて欲しい。


3.フラップ

 昨日の結果を調べてみたら平均速度の速い人と遅い人でmGN(mean glide number)の値が結構違っていた。これはMC値による巡航速度とフラップの設定があっていなくて性能を十分に出せていないのではないかと思った。

 Condor2ではフルバラスト時のフラップの目安は速度計のリングに書かれているのでそれを目安にガチャガチャと動かしていく。高速巡航時はフラップのレバーをノーズ側に動かす方向で、旋回中にフラップ下げにするときは手前に引っ張る方向。これを私はトリムと同じく機体の挙動がノーズダウン、ノーズアップになる方向と考えて動かしている。

 ただ、Condorの場合コックピット内の表示がわかりにくくて、いつもちょっと動かしてみては画面の右下に出てくる表示を見て確認している状況。改めてVentus3のコックピットの表示を見たらフラップ上げの方はだいぶんずれている感じがした。以前、フラップに慣れるまでは、サーマルに入ってフラップを下げるときや、逆にサーマルを出て巡航するまで頭の中で数を数えて動かしていた時もあった。

CoTASAのマニュアルより

 最近、私はCoTASAというアプリを使ってフラップの切り替えのタイミングを教えてもらうようにしている。これはCOndor True Air Speed Alarm (CoTASA)というアプリで、高高度でのVne越えを防ぐために実大気速度を表示してアラームを出してくれるものなのだが、おまけでフラップの切り替え指示や、水バラストの放出量などを表示してくれる秘密兵器。

 MC2〜2.5くらいだと大体200km/hくらいの巡航速度になるのだが、大体どの機体でもフラップの切り替えの境目くらいであることが多く、CoTASAのアラームがうるさいと感じることも多い。なくても速度計のリングを見ながら調整できるが、CoTASAはあったらあったで重宝する。興味のある方はお試しください。ダウンロードページはこちら(https://condorutill.fr)。

 私がVentus3-18をフルバラストで飛ぶとどうなるか。CoTASAを使いながら飛んだ時のサーマリングの模様を動画にしたので、こちらも興味の有る方はどうぞ。動画リンクはこちら

 さて、次の土曜日は3月の最終週。Matamataを使った18mクラスのタスクは次回で一区切り。4月からはどこに行きましょうか?もしご希望のシーナリーがありましたら連絡ください。(NT3)

7 件のコメント:

  1. いつもお世話になっております。

    CoTASAの存在は知ってはいたのですが、使っていませんでしたので早速インストールしました。試してみるとご指摘の通りフラップの切り替えが正しくできていませんでした。昨夜は324さんと同じサーマルに何度も入れたのでそれで上出来で、第3レグで拾ったサーマルがハズレだったのだとか思っていましたが、考え違いでした。教えて頂きありがとうございました。精進します。

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    1. CoTASAは便利なのですが、微妙な速度で飛んでる時はいちいち上げろ下げろとうるさいです。ショートカットキーで音を止めたり付けたり出来るようですが面倒で調べてません。あと、慣れるまで音に惑わされて、フラップを調節すべきなのか、速度を調節すべきなのか分からなくなってしまう時があります。フラップは慣れが必要だと思います。がんばって下さい。

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    2. キーボードの「M]を押せば音を出したり止めたりできますよ。

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  2. いつもご一緒させていただいていますKONです。
    私もCoTASAを先ほどインストールしたのですが、VRでは表示を見ることができず、PCのディスプレイにしか表示されませんでした。YONさんはVRでしょうか?VRに表示されましたか?
    ただし、VRでもアラーム音は聞けたので、フラップの切り替えは今後は適正にできそうです。

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    1. KONさん。VRを手元に持っていないので確かではないですが、以下のページを参考にデスクトップウィンドウからCoTASAを開いて固定(英語版ではPin)、その後Condorを立ち上げるとVRの中でCoTASAを使うことが出来るのではないかと思います。  (NT3)
      https://support.oculus.com/166993604065478/

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    2. このやり方でVRの中でもCoTASAが表示できるようになりました。ありがとうございました。

      但し、CoTASAを終了してしまうとチャラになってしまいます。だから、レースに参加するときは、以下の手順を踏む必要があるようです。
      1.まずCoTASAを起動
      2・CoTASAをヴァーチャルデスクトップ上に固定
      3.Condorを起動し適当なフライトをやってみて、VR上に表示される位置や大きさが問題ないことを確認
      4.Condorのみ終了して待機(この時、CoTASAは終了しないこと。)

      ご報告まで。

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  3. KONさん、いつも一緒に飛んで下さりありがとうございます。当方、普通のモニタにカメラを付けてHeadTrackingしています。参考にならずすみません(^_^;)

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