2021/01/18

Condorでのフライトの安全について

  今回は少しCondorでのフライトの安全について書いてみたい。以下は、あくまでVirturalな世界でのCondorのフライトにかかることであり、現実世界のフライトとは異なることをご理解の上、読み続けてもらいたい。

 実は一昨日の競技フライトで2件の接触事故が発生してしまった。幸いにもCondorにはミラクルQキーというのがあって奇跡の復活が出来るのだが、やはり空中衝突は可能な限り避けたいと思う。

 主催者としてはよほど悪質でないかぎりペナルティや出場停止措置を宣言するつもりはないが、万が一Qキーの回復が出来ず墜落してしまったらと思うとそれは考えるだけでも悲しい。私はこれまで10年を超えるCondorの競技フライトの中でまだ数回しかぶつけられたことはないが、まだあまり技量がなくて旋回中に余裕がないまま一生懸命回っている時に、外からビューンと飛んできた機体にぶつけられたときは本当に悲しかった。

 今回、事故の当事者を責めるつもりはさらさら無いが、ここで主催者として競技フライト中の安全に対する考え方を述べておきたい。

 Kanto Gliding Cup 2021の安全ルールは以下の通り。

・国際ルールの航路優先権を守って飛ぶこと。
(大会の案内には特に書いていないが、リアルであろうがVirtualであろうがこれは共通認識。グライダー人なら肝に銘じておこう。)
(どなたか参考になるHPをご存知の方が居られたら教えて欲しい。ここにリンクを載せたい)

・サーマル中は先に旋回を始めている機体の旋回方向に合わせること。
(明示してあるのはこれだけ。ローカルルールではスタート地点から○km以内は左旋回のみといったものが追加される場合があると聞いているが、今回のコンペティションではそうしたルールは適用しない。右でも左でも早い者勝ち。遠くから見ると分かりにくいときもあるのでその時はガグルに入る前にチャットで聞くこと。5km以内の機体には名前が出るので分かるはず。)

 私は上記以外には通常のグライダー界にあるようなサーマリング時のセパレーション高度や、再低高度制限などつけるつもりはない。皆さんご自身の技量とチャレンジ心を持って紳士的なフライトでタスク時間を競っていただければ結構。上級者どおしはお互いに配慮しながら飛べるので同高度で回ってもらっても一向に構わない。

 ガグルの中に突っ込んでいくときは自分の技量を考えてその可否を判断して欲しい。タスク速度が落ちてしまうことが分かっていても混雑していればパスすることが必要かもしれないし、あえてダイブを使って高度を下げてから入るということがあるかもしれない。むしろ、そこに行く手前から、そういう状況に陥らないようにするにはどうすれば良いか考えてルートを決めることが必要であろう。また、既にCondorに慣れている人は、まだ始めたばかりと思われるパイロットにはあまり近づかないように配慮してあげるとよいと思う。現実競技では一緒に飛ぶことの出来ない技量の違うパイロットが一緒に競技出来るのもCondorの楽しいところである。競い合う仲間を育てていく、そういうコミュニティをつくっていきたい。

 一方、Condorだから出来るチャレンジと言うのもあって、安全率を0にして理論値まで行ったときに結果どうなるか、自分がどのような状況に陥るのかを身をもって体験することが出来る。時にはそういうチャレンジをしてもよいと思う。

 現実世界のフライトであれば絶対的な安全確保が必要であるが、私は、Condorは仮想世界のファン・フライトであって、紳士的な競争をしているのであれば少しくらいはチャレンジがあってもよいと考えている。近距離でのサーマリングや山肌に近いところでの旋回はCondorであっても本当に怖い。しかし、それを体験することで現実社会で絶対やってはいけないことを身にしみて理解してもらえるのであれば、それはそれでいいのではないかと考えている。私は航空部のOBではあるが教官やずっとリアルで飛んでいるパイロットでもないので偉そうなことを言える立場ではないがそう考えている。まだ、技量が少ないと思っている人も先輩達がガグルで回っている下に入って同じように回れるようにどんどんチャレンジして欲しい。ガグルの真ん中に入るような高度の場合は???上記のコメントを読んでご自身で判断して欲しい。

 さて、私が学生時代に航空部の先輩から学んだことでいまだに心に留めていることがある。

「挑戦と無謀は違う。挑戦とはその先どういう事態になったら引き返すのか考えた上でチャレンジすることであり、無謀とはそうした限界を考えないまま突っ込んでいくことである」

 面白いことにCondorは自分の考えるクリティカルポイントが正しいかどうか見極めるために使ってみることが出来る。万が一着陸に失敗してCrashしてもパイロットは死なない。地表に木をあまり生やしていないシーナリーであれば不時着はそんなに難しくない。畑に降りても誰にも怒られない。3Dの建物が建っていなければ街の中にも着陸出来る。他機とぶつかるのは出来るだけ避けて欲しいが、タスク上の挑戦と無謀の境目がどこにあるのか試してもらってもいいと思う。

 日本学生航空連盟のHPページにはちゃんとこういう資料が掲載されている。

 リアルで飛んでいる人も、そうでない人もCondorでサーバに入る人は読んでおいて欲しい。私はずっと古い時代に飛んでいたのでこんなにきちんとまとめられれているのは改めて調べるまで知らなかった。

 CondorはアーケードゲームではなくSimulatorである。指定がない限り制限空域はなく、フライトプランを出したり、クローズを忘れて捜索されることもなく、自衛隊機に撃ち落とされる心配も無いが、お互いに気持ちよく競技フライトをしたい。参加される皆さんにはくれぐれも安全フライトにご協力をお願いしたい。

 それから、私はゴールして着陸後に後にゴールして来る選手達を激励したいし、自分より早かった選手には拍手を送りたい。そのため私は滑空場をゴールにしているので、ゴール後に飛び足りない気持ちは判るが、ゴールしてくる選手の邪魔になるようなフライトはやめてほしい。ゴール後のファンフライトは、ゴールから離れたところ、一生懸命ゴールする選手の邪魔にならないところで楽しんでもらいたいと考えている。

 一方、着陸後ランウェイで滑走中におきる駐機中の他機へのクラッシュ。これはまぁやむを得ないことがままあると思う。R/Wの着陸帯に接地してまっすぐ滑走して止まるのが日本の基準。それを滑走中に進路を変えて滑走路の脇に寄せていくのは難しい。上級者はすぅっと曲がって止めるのであるが、私はまだ上手く出来ない。やろうとすると滑走速度を早めにしないといけないので、接地速度も速くなって実機とはかなり違ったイメージになのではないかとちょっと心配している。実世界なら一旦降りて自分で引っ張って脇に寄せることが出来るが、残念ながらCondorではそれが出来ない。慣れてない人はR/W着陸帯の真ん中で止まっても良いので正しい着陸を試みて欲しい。慣れた人の方が着陸した人をよけて上手く着陸するようにすればよいと思う。それでも、大勢着陸してくると難しくなるので、ちゃんと着陸帯でフレアーかけて接地した人がその後、止まっている人にぶつかるのはまぁ良しとして、それだけは目をつぶりたいと思っている。

 そんなとき、エチケットとして、必ずSorryとチャットでお詫びをして欲しい。サーマル中の事故など判断難しい場合でも先に自分の方からSorryとお詫びすると変なしこりは起きないと思う。

 何だかだらだらと長くなってしまったが、

 最後にCondor Ver1で作った動画であるが、最後に皆さんに紹介したい。

 Gliding Safety

 Flight Safety Videos

 こういうのを実写でとれと言ってもそうは簡単には出来ないが、Condorでそれが体験出来るというのはすごいと思う。私もフライト中、大きな積雲の下で別のコアで反対周りで回っていた向こうのグライダーがだんだん寄ってきてお互い自分がコアにいると思っているのでなかなか離脱出来なくて悩んだ経験もあるし、こっちが一生懸命上昇しようと回っているのにそこに突っ込んできた機体にぶつけられてちょっと悔しかったこともある。でもこうした経験を積むとだんだん周りが見えるようになってきて、周りを見る余裕と何が危険なのかという判断が出来るようになってきた。これは実フライトでは絶対出来ない習得の仕方ではないかと思う。だからといってそれがリアルフライトのパイロットに役立つと言い切る確信はないが、虚実わきまえた上で経験を積むことはいいことではないかと思う。このあたり、本物の教官の皆さんにもCondorを楽しんでもらってご意見を伺いたいところである。


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