2021/01/17

フライトデータの読み方

  先のポストでKanto Gliding Cup 2021、Day1の暫定結果を発表したので、今回は集計結果の詳細版の読み方についての解説。まずはこちらを開いてから以下の解説を読んでもらいたい。


 データはこちらのサイトから入手したShowCondorIGC 2.62a for C2を使って計算して出力したもの。各項目が何を示しているのかは次の通り。


mCR (mean climb rate):タスクにおける平均上昇率
mGN (mean gliding number):風の影響を考慮しない平均L/D
mIAS (mean indicated airspeed):平均計器指示速度(速度計に表示される速度で、実際の速度は高度が高くなると速くなる)
nLift (number of lifts):タスクで使ったサーマル(リフト)の数
DeltaGN:mGNとポーラーデータとの差
Vmet:大気の平均上昇・下降率
AltLift:サーマル(リフト)一回あたりの平均獲得高度
Detour:回り道をしている割合(滑空部分だけを計算していて、おそらくサーマル旋回中のドリフトは考慮されていない。) 

 フライトの後の反省会は結構楽しくて時間の経つのを忘れてしまう。

 やはり決定的なのはmCR。サーマルタスクではこれが低いとどうしようもない。今回は私のmCRが一番高かったが、欧米のレースに出るとまだまだ若造である。丁寧な旋回をするのは実機と同じく極端な動きをしない、少しずつ寄せていく、これが大事だと思う。

 次に私が気にするのはDetourの値。つまり、どれだけタスクラインから離れて遠回りをして飛んでしまったかということ。フライト中には、風向きを含め周りの状況をよく見て、慎重に積雲を選んで効率良く進むことを考えなくてはいけない。今回のタスクで気がついた方も多いと思うが、Condorの場合は山の斜面の風上側に積雲(サーマル)が出来ることが多い。トリガーのことも考えて経路を考えること。また、回っている間に風に流されることを考えると、平地のサーマルタスクでは出来るだけタスクラインの風上側にある積雲を目指して飛ぶと良いだろう。サーマリング中にも常に周りの積雲を見て次の行動を考えていなくてはならない。Condorでは若い積雲の下のサーマルが強いことが多い。ついさっきまで何もなかったところに積雲の卵が出来てくることがあるので周りを常に観察している必要あり。

 また、あるところで飛行距離はタスク距離の+5%以内にすべしと書いてあるのを見たことがある。地形との関係で遠回りを選択することはあるが、サーマルタスクではこれを目標としている。このIGC分析では2.5%のDetourと出ているが、Condor Clubにログをアップすると飛行距離はタスクの104.5%となっていた。私はいつもCondor Clubの飛行距離で見ていたが、こちらの場合はまずは他の選手との比較でみてみるとよいと思う。

 DeltaGN、Vmetがマイナスになるようだと滑らかな飛行が出来ていないことが考えられる。もしかしたら足を出したまま飛んでいたり、ダイブが開いているかもしれない。私も一度サーマルで回っているのにどうしても上がらないときがあって、ふと気がついたらダイブが開いていたときがあった。Condorは体で感じるGがないので注意が必要。飛行機曳航時に不用意に索をたるませないようにダイブを使うことがあるが、離脱後にダイブ閉めと足上げの両方の確認を忘れないようにしたい。実機と同じように声を出して指差し点検をしよう。

 なお、これを計算している「ShowCondorIGC 2.62a for Condor」には最近のアップデートが出ていなくてCondor Hangar Update 14以降に使えるようになった新しい機体のポーラーデータが入っていない。そのため、PegaseやDG101GなどではVmetやDeltaGNが計算出来なくていずれも0になっていることは了解しておいて欲しい。それでも、このアプリで自分のIGCを分析してみると、サーマル旋回している時間と滑空している時間の割合や、各種データがレグごとに計算されているなど、発表した結果表以上に細かなデータもあるので興味の有る方は試してみて欲しい。

 このアプリ以外にも、IGCデータのビューワーはいろいろあって、有名なSeeYouやウェブサービスのSoaring Labの他にも、スマホ/タブレットのアプリもいろいろ出ているので、ご自身のフライトを振り返って次のタスクに備えるということをぜひやってもらいたい。

 さて、話が少しずれてくるが、上記データでDeltaGN、Vmetが極端に悪い場合はPCのグラボとの関係で問題が出ることがあるらしいとのこと。思い当たる方はこのページを参照してVertical syncをOnにして見て様子を見てみて欲しい。関係するかどうかは分からないが、Nvidia付属のExperienceというユーティリティはCondor界隈ではなにかと評判が悪く、アンインストールしているひとが多いらしい。

 某氏はVertical syncをオフのまま使っていたらノートPCが熱暴走してしまい、これをオンにしたらおとなしくなって遊べるようになったという。何かおかしいと思ったらいろいろと試してみて欲しい。

 一方、私はRadeon RX680を使っているのだが、こちらの場合は逆にVertical syncをオンにしたら問題が出てしまった。グラボがやたらと控えめに動くようになってVertical syncしてくれないで30〜40fpsまで描画が遅くなることが発生してしまった。これをオフにしたら100fpsも出てきて60fpsを下回ることはない。私は普通のTVを使っているので早くしてもしょうがないのだが仕方がないのでこの設定はオフのまま使っている。グラボのファンはぶんぶん回り出すが、描画速度が遅くなることがなくなって快適に遊べるようになった。

 以上、少し話がPCの話にずれてしまったが、今回のタスクは100km前後、1時間くらいのタスクなので一つ二つのサーマル選択の善し悪しが順位に結構響くのではないかと思う。タスクの予習/復習は楽しいのでぜひ続けて欲しい。 

 さぁ、来週は妻沼から北西から向って帰ってくる三角コース。水曜日あたりに予告を出すので楽しみにして欲しい。

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